オレンジの魚サン

今から１６年前、僕は１８歳でした。当時は、学生をしながら仕事もして、人付き合いも多く、読書や課題に追われ、先輩や上司に誘われれば朝まで付き合い、夜も寝ず、飯を食べながら走る日々、駅で電車を待つくらいなら一駅走る方が早かった、秒を無駄に出来ない程忙しい日々を過ごしていました。
ある時、靴と靴下を履き脱ぎする時間が無駄だと思い、サンダルに履き替えることを思いつきました。
裸足で履けるし、かがむことなく手を使わずそのまま履き脱ぎ出来ることに効率を覚えました。
しかしサンダルには大きな欠点がありました。
それは、すぐに壊れることでした。また雨の日はよく滑りました。また柔い作りがハードな行動に向いていなく足を痛めました。
何か、安くて強くて良いサンダルはないかと考えていた頃、新宿駅前の古びた雑貨屋に黄色とオレンジの魚サンを見つけました。
大きくて一体型の作りで強そう、足が大きい僕にも履ける！二つ欲しかったけど、金がなくてオレンジの方を買いました。

この間、妻になんでそんなボロサンダル履いてるの！て笑われました。
だから言ってやりました。

人生で１番忙しい時に出会い、あれからほぼ毎日履いていたと。雨の日も冬の日も、運転する時も履いていた。こいつで山登りもしたし、海で遊んだし、何度か波に流されて諦めたことがあった(波にのって戻ってきた！)
今となってはこれ以上に履き心地の良いものはないと！
僕がなくなったときはこれを履かしてくれと。妻は笑っていました。
でも確かに色褪せてボロだし、世代交代で新しい魚サン買いました。今思うとサイズ合っていなかった。
さよならはしないけど、しばらくゆっくり休んで下さい。１６年間の日々、僕の足となってくれてありがとう

[801]　Omgau　(2023/08/11 Fri 04:47)